シューベルト「ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960」
シューベルトは、31歳でこの世を去っている。この曲はその年の9月に作曲され、逝去したのは11月。
亡くなる2か月前に完成されているので、自身の余命が短い事を自覚していたと考えられる。
このCDの11月５日の実演に接した時、31年間のシューベルトの溢れでる美しいメロディー、長大な第一楽章の主要な各主題を、繰り返し心に重く突き刺すトリルによって浄化されて行く様に感じた。
この長大な楽章を経て、死の恐怖から解放されたシューベルトの歌に覆われた素晴らしい演奏であった、一期一会。（音楽評論家：渋沢明）

シューベルト:ピアノソナタ第21番
リスト：ロ短調ソナタ

平沢匡朗（ピアノ）
五反田文化センター 音楽ホール
2021年11月5日（ライブ）