Japan Arts

2016年11月28日(Mon)  開場 18:15 / 開演 19:00
浜離宮朝日ホール (Tokyo) map

ニコライ・ホジャイノフ ピアノ・リサイタル

ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ)


ショパン
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op. 22
ワルツ第6番 変ニ長調 Op. 64-1「小犬」
ワルツ第9番 変イ長調 Op. 69-1「告別」
ワルツ第10番 ロ短調 Op. 69-2

リスト
ヘクサメロン -演奏会用小品-ベッリーニの「清教徒」の行進曲による華麗なる大変奏曲 S392/R131

シューマン
アラベスク ハ長調 Op. 18
幻想曲 ハ長調 Op.17


~待望の再来日に寄せて~

ニコライ・ホジャイノフが2014年に浜離宮で行ったリサイタルは忘れられない。シューマンとショパンで構成されたプログラムで、前半に「アラベスク」と「ダヴィッド同盟曲集」を弾き、後半に「子守歌」「ピアノ・ソナタ第3番」を弾いた。細部までピアニストの鋭い美意識と強烈な感情の力を伝えてくる演奏内容で、力任せに技術を誇示するような強引さはなく、落ち着いていて、弱音は香るような気品に溢れていた。彼の弾くピアノからは、いつも根深い渇望を感じる。「聴衆ともっともっと深く繋がりたい」という一体化の欲求が、あらゆる瞬間に伝わってくるのだ。演奏会は特別な時間で、演奏家と聴衆の意識が地続きになる官能的な時間だということに気づかされる。ホジャイノフが求めるコミュニケーションは貪欲で、一音たりとも聴き手の心を鷲掴みにしない音はない。2010年のショパンコンクールで18歳のホジャイノフが、入賞を逃したにも拘らず世界中の聴衆を魅了したのもその個性ゆえで、彼はそんな若い頃から、ふんだんに与え、求めるピアニストだった。

フランシス・プーランクのピアノ協奏曲も演奏し、レパートリーを拡げているホジャイノフが浜離宮で2年ぶりに弾くのは、原点に返ったかのようなロマン派のプログラムで、ショパン、リスト、シューマンが並ぶ。ショパンの若き日の名作『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ』を今のホジャイノフはどのように弾くのだろう? リストのオペラ・トランスクリプションはアンコールの定番だったが、今回はベッリーニの『清教徒』からのメロディをモティーフにした変奏曲『ヘクサメロン』が本編に入っている。シューマンは2年前と同じ『アラベスク』のほか、『幻想曲 ハ短調』も聴かせてくれる。少年の面影を残しながらも、飛躍的な成長を遂げ、今や世界中で活躍するようになったホジャイノフの「大人の演奏」に期待は募るばかりだ。

小田島久恵(音楽ライター)


S席:6,400円(5,800円)

主催者HP https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=479