Japan Arts

2016年12月5日(Mon)  開場 18:15 / 開演 19:00
東京オペラシティ コンサートホール (Tokyo) map

パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 (ヴァイオリン:樫本大進)

樫本 大進(ヴァイオリン)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)


ブラームス
ハイドンの主題による変奏曲

ベートーヴェン
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 61 (ヴァイオリン:樫本大進)

シューマン
交響曲第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」


バンド仲間の「これまで・いま・これから」
~パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルを讃えて~

パーヴォ・ヤルヴィはいま、新たな段階を迎えているようだ。
18世紀から21世紀まで、幅広い音楽をレパートリーとする彼のような指揮者は、今の時代、どうすれば理想的な仕事ができるだろうか?
現代のオーケストラ・シーンは、20世紀の演奏習慣がいたずらに肥大化させた19世紀中葉までの管弦楽曲を、鮮明な響きに戻そうと努めてきた。ならばレパートリーに応じて、フルサイズの楽団と室内サイズの楽団を使い分ければよい。パーヴォの場合、ここへきて前者が東京のNHK交響楽団に、後者がブレーメンのドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団に、絞られたのだ。50代なかばを前にして己に課す「集中」を感じずにはいられない。そのドイツ・カンマーフィルだが、これは一時期4つもの楽団を率いていたパーヴォが、唯一関係を継続すると決めた例外的な楽団である。芸術監督に就いたのは2004年だから、もう10年以上の関係になる。

だがそれも、不思議はないという気がする。
というのも、彼らは「鮮明な響き」を出せるばかりではない。誤解を恐れずに言えば、何より活きのよいバンド仲間なのだ。リハーサルなど、舞台裏をうかがってみるとよりはっきりするのだが、議論や笑い声が絶えない彼らは、まるで文化祭で盛り上がる高校生のよう。なるほど、これがあの演奏の秘密なのか!
不意打ちのことごとく効いたベートーヴェン。拍の揺らぎが感情の波動となって迫りくるシューマン。ときに闘争の身ぶりをもむき出しにするブラームス。彼らがチクルスの形で展開してきた、これら作曲家のシンフォニーは――ここだけの話――パーヴォが他の楽団を指揮しても、こうはならない。音楽をともに作る感覚。その原初的な喜び。これがあるから、彼はブレーマーたちを手放せないのだろう。
いま挙げた3人の作曲家が並ぶ今回の来日公演は、このコンビのファンにも入門者にも、彼らの軌跡を総覧できる良いチャンス。樫本大進という、輝かしいソリストでありながらソリスト・エゴを振り回さないヴァイオリニストが加わるのも楽しみだ。
「新たな段階」をバネにして、さて、パーヴォはこのバンドと次にどこへ向かうのか?そのあたりを占いつつ聴くのも一興であろう。

舩木篤也


S席:15,600円(14,500円)/A席:11,800円(10,800円)/B席:8,600円(7,700円)/C席:5,900円(5,300円)

主催者HP https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=481